高卒18歳で運輸業界に飛び込んだ話【路線業・2トン車からのスタート】

仕事

今は34歳でトレーラーの運転手をやっているんですが、振り返ると最初からこの仕事をしていたわけじゃないんです。自分が運輸業界に入ったのは、高校を卒業したばかりの18歳の春のことでした。

18歳、特別な理由もなく選んだ運輸業界

高校を卒業してすぐの18歳の春。自分は運輸業界に飛び込みました。
当時の自分には、「絶対にこの仕事がしたい!」「トラックに乗りたい!」といった強い思い入れがあったわけじゃなかったんですよね。就職活動の時期になって、学校にきていた求人票をパラパラと眺めている中で、最終的に残ったのが警備の仕事と運輸業界の二つの選択肢だったんです。

「どっちが自分に向いているんだろうか」と少しは悩んだものの、本当に特別な理由はなくて、「なんとなくこっちかな」っていう直感みたいなもので運輸業界を選びました。今思えば、若さゆえの勢いだったのかもしれませんね。

入社したのは、全国に拠点を持つ路線便の会社でした。企業間の小口荷物を輸送する仕事がメインで、担当エリアが決められていて、市内の配達と集荷を日々こなしていくのが主な業務内容です。
朝7時くらいに出勤して、荷物を積み込み、ルートに沿って配達して回る。そして午後からは、お客様のところへ荷物を集荷しに行って、営業所に戻って荷下ろしをする。
右も左もわからない18歳の若造にとって、社会人としての第一歩はまさに手探りの状態からのスタートでした。

まず2ヶ月間の座学研修からスタート

座学研修のイメージ

入社してすぐに現場に出られるわけじゃなくて、最初の2ヶ月間は研修所で座学研修だったんです。自分と一緒に入社した仲間は50人近くいたんですが、時間が経つにつれて一人一人減っていって、最終的には半分近くになっていました。でも、その当時の同期の人たちは年が同じというのもあって、研修期間も辛くて嫌な事ではなく、仲間といろんなことを共有して励まし合ったりで、結構楽しい研修期間でもあったんですよ。


研修内容は運送業の基礎知識から始まって、交通ルール、安全運転の心構え、荷物の取り扱い方、お客様対応のマナーなど、ドライバーとして必要な知識を一通り叩き込まれました。運転に関する座学もあって、トラックの特性や死角、バック時の注意点なんかも学んだんです。

正直なところ、早く現場に出て実際にハンドルを握りたいという気持ちが強くて、座学の時間は少し長く感じましたね。でも後になって振り返ると、この2ヶ月間で学んだことが現場での判断の土台になっていたと実感しています。
研修を終えると、いよいよ担当拠点への「配属」が言い渡されました。自分がこれから働く営業所が決まって、いよいよ本格的なスタートを切ることになったんです。

配属後は先輩の助手席で「横乗り」の3ヶ月

横乗り研修のイメージ

拠点に配属されてからも、すぐに一人でトラックを運転させてもらえるわけじゃありません。配属後の3ヶ月間は「横乗り」と呼ばれる現場研修期間だったんです。
先輩ドライバーが運転するトラックの助手席に座って、実際の仕事の流れや荷物の扱い方、お客さんとの接し方などを現場で直接学んでいくわけです。

この横乗り期間は、ただ助手席に座って外の景色を眺めているだけじゃないんですよ。先輩の動きをじっと観察しながら、どこに車を停めれば邪魔にならないか、どのルートを通れば効率よく回れるのか、そして何より「プロのドライバーとしての心構え」を肌で感じる貴重な時間でした。
重い荷物の持ち方一つとっても、コツがあるんです。お客様への挨拶の仕方や、伝票の処理方法など、座学では学びきれない現場のリアルが山のようにありました。

指導してくれる先輩はいろんな人がいましたね。言葉少なに背中で語るような厳しい先輩もいれば、冗談を交えながら優しく教えてくれる先輩もいました。
助手席から見る街の景色は、これまで自分が自転車や電車から見ていた景色とは少し違って見えました。トラックの少し高い視点から見る道路は新鮮で、「自分も早くあのハンドルを握りたい」という気持ちが日に日に強くなっていったのを今でも覚えています。

2トン車での独り立ちと、立ちはだかる「道」の壁

3ヶ月の横乗り研修を無事に終えて、ついに自分は2トン車を与えられて「独り立ち」することになりました。
自分専用のトラックのキーを渡されて、初めて一人でハンドルを握った時の高揚感。そして、これからすべてを一人でこなさなきゃいけないというプレッシャー。その両方が入り混じった複雑な気持ちで営業所を出発した初日のことは、一生忘れられないですね。

でも、独り立ちしてすぐに、とてつもなく大きな壁にぶつかりました。それは「道を覚えること」だったんです。

今の時代なら、スマホで地図アプリを見たり、高性能なカーナビがトラックに付いていたりするかもしれません。でも、業務として効率よく、決められた時間内に配達と集荷を回るためには、頭の中に自分なりの地図を作らなきゃいけないんです。
一方通行の道、2トントラックでは曲がりきれない細い道、時間帯によって渋滞する交差点や踏切。これらを完全に把握していなきゃ、スムーズに業務をこなすことは不可能でした。

毎日毎日、休憩時間も惜しんでゼンリン地図と睨めっこしながら走り回りましたよ。それでも、道を間違えて引き返せなくなって、冷や汗をかいたことも一度や二度じゃありません。
「次の交差点を右だったか、左だったか……」
焦れば焦るほど道がわからなくなって、トラックを安全な場所に停めて、先輩に電話で助けを求めたこともありました。道に迷うたびに自分の不甲斐なさを感じましたが、とにかく走り続けて体に覚え込ませるしかなかったんです。

最初の大失敗

バックドア衝突事故のイメージ

そんな駆け出しの頃、今でも思い出すと冷や汗が出るような大失敗をしてしまったんです。

ある日、いつものように配達でお客さんのところを訪れた時のことです。その日は少し時間に追われていて、気持ちに余裕がなかったのかもしれません。
目的の場所に到着すると、そこにはパンタイプの車(バン)が停まっていました。そして、その車のトランク(バックドア)が上にパカッと開いた状態になっていたんです。

自分は、その「上に開いているバックドア」に気づくのが遅れました。下のバンパー部分や車体本体にはぶつからない距離感だと思い込んで、あろうことか自分の乗っている2トントラックの荷箱の上部を、その開いたバックドアに思い切りぶつけてしまったんです。

「ガチャン!」という、金属がぶつかり合う嫌な音が響いた瞬間、頭の中が真っ白になりました。
「やってしまった……」
慌てて車から降りて確認すると、相手の車のバックドアが見事にひしゃげて曲がってしまっていたんです。

当然ながら、すぐにお客さんに謝罪して、会社にも震える手で電話をして報告しました。営業所に戻ってから、所長や先輩たちにこってりと絞られたのは言うまでもありません。始末書を書きながら、自分の不注意さを深く反省しましたね。

この失敗は、自分の確認不足と、トラックという「高さも幅もある大きな乗り物」を運転しているという自覚の甘さが招いたものでした。「たぶん大丈夫だろう」という「だろう運転」じゃなくて、「もしかしたらぶつかるかもしれない」という「かもしれない運転」を常に意識しなきゃいけないと、身をもって痛感した出来事でした。

失敗を乗り越えて見えたもの

18歳で飛び込んだ運輸業界。右も左もわからず、道を覚えるのに苦労して、時には取り返しのつかないような大きな失敗も経験しました。
でも、あの2トン車で市内を無我夢中で走り回っていた日々が、今の自分のドライバーとしての原点になっていることは間違いないですね。

特別な理由もなく、なんとなく選んだ道だったかもしれません。でも、毎日ハンドルを握って、荷物を待っている人のもとへ届けるという責任を果たすことで、少しずつプロとしての自覚が芽生えていきました。
失敗を重ねながらも、それを教訓にして次に活かし、前に進む。それが、この業界で生きていくために一番大切なことだって、あの頃の自分に教えてやりたいです。

今でも、街中で初心者マークをつけたトラックを見かけると、当時の自分の姿と重なります。あの時の失敗と、それを乗り越えた経験があるからこそ、今の自分があるんだと実感しています!

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